≪単行本≫
水木しげるの『劇画ヒットラー』。
水木しげるといえば、あの『ゲゲゲの鬼太郎』じゃないのかと思う人もいるだろう。私もそう思った。
実は、水木しげるは戦争をテーマにした漫画を多く描いている。
この『劇画ヒットラー』もそのひとつ。
ただ、戦争について描かれているのはほんの一部だ。
戦争というよりも、ヒットラーの個性を、飛び出るように表した書籍である。
本当のヒットラー
アドルフ・ヒットラーは頭がいい。
すべてを意のままにあやつり、押し通してしまう、
究極のネゴシエーターだ。
- 1 -
ナチス党が混乱し、分裂寸前の危機に直面しても、
3分以内に合意の下に結論を出させる。(148ページ)
彼が結論を出すのではなく、出させるのである。
ナチス党のメンバーは皆、党を続けていく気力さえ失っていた。
そんな党メンバーを一気に動かすアドルフ・ヒトラー。あなたのまわりにこんな人がいるだろうか。
彼でなければ党は絶対に動かなかっただろう。
- 2 -
誰もが無理だと思うような境地でさえも、
1人で15人ものフランス兵を一網打尽にする。(45ページ〜)
決して手は出さない。
見事というほかない心理戦。
15人のフランス兵が一瞬にして震え上がる瞬間は彼の才能におびえてしまう。
- 3 -
全員が反対する、明らかな形勢不利に陥ったとしても、
数十人を一転させて、思い通りの結果を出す。(116〜120ページ)
なんで「党から除名すべきだ」と言っていたやつらが、4ページ後に「間違っていた」「従うしかない」なんて言い出すんだ。
ひとりも賛成するものはいなかったというのに。
どうやったらこんなことができるんだ。
それでも愛した女性の死には眠るしかないほどの悲しみを負う。(137ページ〜)
なにものにも惑わされることなく進んできたヒトラーが何日も動けなくなる姿は衝撃的だ。
そんな、なにもかも、全てを正面から突き通す、槍のようなアドルフ・ヒットラー。
私は吸い込まれるように読んでしまいました。
是非読んでくれ! というオススメの一冊です。




